借金救済制度とは？債務整理できる条件や特徴、メリット・デメリット

2022.10.18                

「どんな借金（債務）救済制度があるの？」 「救済制度以外で借金を減らす方法は？」 そんな疑問を感じたことはありませんか？

現在借金問題に苦しんでいる人は、借金救済制度の存在を知れば安心できるかもしれません。

この記事では、債務救済制度とその他の借金減額方法について説明します。

借金救済制度の種類、「債務整理」の特徴と流れ、借金救済制度以外の借金減額方法、弁護士に債務整理を依頼するメリットについても解説していますので、参考にしてください。

借金（債務）救済とは何か？手続きのメリット・デメリットを解説

債務整理とは、債権者との交渉や裁判手続を通じて債務を軽減し、債務者の社会復帰を支援する手続です。

さまざまな債務整理手続きの特徴、メリット、デメリットについて説明します。

債務整理には主に次の4種類があります。

• 任意整理
• 個人再生
• 自己破産
• 過払い請求

これらの債務整理のそれぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。

任意整理

債権者と直接交渉して債務を軽減する手続きです。

訴訟はなく、債権者の意思で手続きの方針が決まります。場合によっては債務の返済義務が免除されることも想定されますが、「将来の利息」「経過利息」「延滞損害金」のみを減額または免除することが現実的な着地点と考えられます。

• 将来の利息：借金が全額返済されるまで元本に発生し続ける利息
• 経過利息：経過した期間に発生した未払いの金額に対する利息。
• 延滞損害金：返済が遅れた場合に違約金として課せられる損害賠償金

将来の利息および経過利息は法定利率に基づき、元本の金額に応じて年間 15% ～ 20% の上限が設定されます。

このように、現在の延滞損害金は、1日あたりの延滞損害額に延滞日数を乗じて算出されるため、延滞日数が長いほど金額が大きくなります。

任意整理の大きな特徴は、上記の「将来利息」「経過利息」「延滞損害金」の3種類の利息を減額できることです。

任意整理のメリット

任意整理の利点は次の通りです。

• 利息が免除される
• 短時間で手続きが完了できる
• 財産の流動化なし
• 任意配置のターゲットを選択可能

任意整理は裁判が不要なため、個人再生や自己破産に比べて短期間で手続きが完了する傾向にあります。

平均的な手続き期間は、自己破産と個人再生の場合は約1年、任意整理の場合は約2～6か月かかります。

また、債権者との任意整理の交渉により、債務額を減額するための手続きの対象を選択することも可能です。

任意整理特有のデメリット

任意整理の欠点は次の通りです。

• 借金が減らないかもしれない
• 大幅な債務削減を期待できない
• 手続き後も返済は続くため、安定収入がないとできない可能性がある

手続方針は債権者の意思により決定されるため、借金の額を減額できない場合があります。

任意整理では、手続き後3～5年程度で残債を返済するのが一般的ですが、その間に債務を履行する見込みがなければ、債権者は交渉に応じてくれません。

また、将来的に利下げや免除を受けても、未払利息を一切カットしない方針の貸金業者も少なくありません。

個人再生とは？

裁判所に借金の返済が困難である旨の申立てを行い、承認を得て、借金を減額する手続きです。

手続き後の返済額や返済予定などを記載した再生計画書を裁判所に提出する必要があり、再生計画案が承認されれば、債務額を約1/1に減らすことが期待できます。

また、債務者の再生計画を支援する目的で、3年から5年程度の長期分割返済を認めるケースもあります。

自己破産

裁判所に申し立て、免責が認められれば、すべての借金の支払い義務が免除される手続きです。

任意整理や個人再生とは異なり、手続き後の返済を継続する必要がないため、多額の借金があっても社会復帰が期待できます。

自己破産は、原則として債務免除ではなく、財産を現金化することで行われますが、手続きには「同時廃止事件」「保管事件」「少額管理事件」の3種類があります。

• 同時廃止事件：自己破産の開始と同時に破産手続を終了する手続
• 管財人事件：破産管財人が破産手続を行う手続
• 少額信託事件：通常の信託事件よりも低コストで実施できる信託事件

破産手続とは、裁判所が選任した破産管財人が、申立人の所有財産を調査し、貴重な財産を換金し、債権者に分配する手続をいいます。

申立人が換金に値する財産を所有していない場合には、同時廃止事件が行われます。

少額信託事件とは、破産手続の一部を弁護士が代行することで費用を抑える仕組みです。したがって、弁護士を雇うことが不可欠です。

自己破産のメリット

自己破産のメリットは次の通りです。

• すべての債務の免除
• 特定の資産を保持できる

破産後、債権回収を受けても対応の必要はありません。

また、自己破産は原則として所有財産の売却となりますが、差押えが禁止されている家具や衣服、一定額以下の現金などを保有することは可能です。

自己破産のデメリット

自己破産のデメリットは次の通りです。

• 免除が認められるまで適用される資格制限
• 破産手続時の居住制限
• 免責不許可事由に該当する場合、免責を受けられない可能性
• 官報に掲載

自己破産が開始されると、資格制限が課せられ、弁護士、司法書士、不動産仲介士などの資格を取得できなくなります。

これらの資格をすでに取得している場合は、免除を受けるまでその資格を使用することはできません。

過払い金請求とは？

過払い金請求とは、グレーゾーン金利に基づいて返済した債務である過払い金の返還を請求する手続きのことです。

グレーゾーン金利とは、利率制限法と投資法で定められた上限金利との間の金利帯です。

2006年1月13日より前に借りた場合は、過払いの原因となったグレー ゾーンの金利で借りている可能性があります。

過払い金請求のメリット

過払い金請求のメリットは次の通りです。

• 手元にお金が戻る可能性がある
• 他人に気づかれずに手続きができる
• 借金が完済すれば手続きのリスクはほとんどない

最大のメリットは、過払い金が戻ってくることです。

返還されたお金は自由に使えて、他の借金返済にも使えるので、家計を改善するきっかけにもなります。

また、個人再生や自己破産などの手続きに関する情報は官報に掲載されません。そのため、過払い請求をしたことが周囲に知られるリスクはほとんどありません。

過払い金請求のデメリット

過払い金請求のデメリットは以下の通りです。

• 過払い金が時効に達した場合は、返還なし
• 債務返済中の過払い請求は、任意整理と同様の扱いとなる（残債が残る場合は、ブラックリストに載る）

債権者との最後の取引から10年が経過した場合、過払い金は失効し、返還請求ができなくなりますので、早めに司法書士や弁護士にご相談ください。

また、債務が完済していれば過払い金請求のリスクはほとんどないと言いましたが、債務が完済している場合は事情が異なります。

これは、債務返済中に過払い金を請求すると、返還された過払い金が返済に充てられ、借金を減らす目的で任意整理として扱われるためです。

おまとめローンは1人の借り手にのみ可能

おまとめローンは、複数の借り手を1つにまとめられる魅力的なローンです。複数の借り手を持つということは、金利が高くなることを意味します。

金利が高いローンを組むと、確実に損をします。また、借り手が複数いると煩雑になるため返済がしにくいのもデメリットです。

おまとめローンで複数の借り手を1つにまとめれば、基本的に金利は下がります。
これは、金利の低い金融機関にまとめられるため、利息分だけ返済しやすくなるからです。また、借り手が1人なので返済も簡単です。

おまとめローンは、借金返済の対策として有効と言えます。

借り換えローンとは、金利の低い金融機関に借り換えを行うローンです。

一方、ローンの借り換えは、賢く利用すれば総返済額を減らすこともできます。理由は簡単で、金利の低い金融機関に借り換えると総返済額が減るからです。

借金返済が困難な場合は債務整理がおすすめ

おまとめローンや借り換えローンは債務救済対策として有効ですが、これらの方法でも返済が困難な場合は、次の段階の債務整理をお勧めします。

ただし、債務整理には共通するデメリットがあります。

• ブラックリストに載る
• 残債は保証人に請求される

ブラックリストに載せられる

債務整理のデメリットとしては、任意整理の場合は約5年、個人再生・自己破産の場合は約5～10年ブラックリストに載ることになります。

一般的に、信用情報機関が保有する信用情報に事故情報が記録されることを「ブラックリスト」と表現しますが、ブラックリストというものはありません。

残債は保証人に請求される

債務整理により減額された債務の返済義務は、原則として保証人に引き継がれます。

残債を一括で保証人に請求するのは、債務整理を行うと主債務者と保証人が「時間の利益」を失うからです。

「時間の利益」とは、債務者が契約条件に従って期日までに債務を返済する権利を指します。

ローンの開始時に、借り手は時間の恩恵を受けるため、分割払いが許可されます。

借金救済制度で、目の前の借金問題を解決しよう！

借金救済制度の「債務整理」には、裁判所に行かずに短期間で借金を減額する「任意整理」、財産を維持しながら借金を大幅に減額する「個別再生」、すべての債務の弁済義務が免除される「自己破産」があります。

ただし、借金の状況や債務整理に至る経緯によって、選択する手続きは異なります。

また、「おまとめローン」や「ローンの借り換え」など、債務整理を行わずに利息を抑える方法もありますので、弁護士に相談して、自分に合った最適な借金問題解決の方法を見つけてください。

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